巨人の城

モンペリエから40キロほどの地点にサン・ギエム・ル・デゼールと呼ばれる小さな村があります。デゼールは砂漠を意味しますが、同時に寂しい人気の無い場所も指しています。周囲は高い岩山に守られた窪みに、9世紀初頭に創立されたジェロヌ修道院を囲んで小さな石造りの家が寄り集まっています。サンチアゴ・デ・コンポステラに行く巡礼者の通り道としてユネスコの世界遺産に指定されていますが、何よりも孤独を求める散歩者が自然に足を向けたくなる場所です。「世界の果て」と呼ばれる石ころだらけのすり鉢状の谷間、「巨人の城」と呼ばれる廃墟などを遠くから眺めながら歩き回ると、頭の中がすっかりリセットされるような気がします。この城は西ゴート族が建てたと言われていますが、天を仰いでそそり立つ岩山の頂上にあります。

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村の駐車場から眺めると、外敵の侵入を防ぐための見張りに使われた城砦がどれほど大袈裟なものであったか実感できます。それによって君主の執着ぶりが想像できますが、おかげでこの村は安泰でした。

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尾根伝いに歩き回る時眼下に広がる風景です。村そのものは真にちっぽけです。

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巨人の城については伝説があります。修道院を建て、自ら僧侶になった聖人ギエムはシャルル・マルテルの孫、シャルルマーニュの従兄弟ですが、そのギエムがまだ軍隊を率いて地方の統合に勤しんでいた頃に、恐ろしい巨人が城に住んでいたそうです。巨人を城から追い払うために召使の女に変装したギエムが忍び込むのですが、巨人に飼われていたカササギがギエムの正体を暴きます。格闘の末ギエムは巨人を崖の上から突き落とし、城を占領しますが、その時以来、カササギは村から追い払われたそうです。そう言えば鳥の姿を見ませんでした。

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一度話題にしたことがありますが、アルビ十字軍に征伐された異端のカタリ派が立て篭もった城砦も同じような造りのものが多いです。人を近寄せない岩山の天辺に建てられています。ガリバー旅行記に出てきて、日本のアニメのテーマになった「天空の城ラピュタ」にも思いを馳せてしまいます。

シーズン・オフの村の中はいたって静かでした。ラングドック地方におけるロマネスク美術の至宝と看做されている礼拝堂を背後から撮って見ました。丁度太陽が顔を見せてくれたので、この日で一番綺麗な色合いです。


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