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ジルベール・ベコー

昨日、午後一時から国営3チャンネルでジルベール・べコーの話をしていました。命日か生誕記念日のどちらかであろうと思っていたら全く関係なく、新番組の始まりでした。不人気だったお笑い番組を止めて、大成功した往年の歌手、作家などを毎日取り上げて、インタヴューなどのビデオ・アーカイブ中心に人物紹介をしていくようです。よく知られている人物ばかりですが、細かい経緯など、知る人ぞ知るエピソードも盛り沢山なので楽しめる内容です。

ベコーに関しては、彼がミュージカルも作成したことがあると知りませんでした。ある程度知っているつもりでも大したことなかったと自覚しましたが、それにしてもムッシュ(ミスター)・10万ボルトと仇名されただけのことはあると感心しました。世界中で歌われたエ・マントゥナン(What Now My Love )、ジュ・タパルチァン( Let it be me )、セ・アン・セプタンブル(September Morn)は大ヒットと言えますが、そこまで行かなくても、ランポルタン・セ・ラ・ローズとか、ナタリーなど、誰でも一度は耳にしたことのある音楽が一杯あります。

こうして見直してみると、自分のベコー観がいかに偏見に満ちたものであったか分かり、アーティストに対して申し訳ないような気がしたほどでした。実を言えば晩年のベコーの振る舞いに不快感を覚えた故に、作品にもある程度無関心になっていたのです。テレビの司会役と喧嘩腰になって、確か殴ってしまったこともあるような気がします。いい年して若い新人の前で色男ぶりを発揮しようとした時のいやらしさ。要するに醜態を見てしまいました。その結果音楽の魅力にも反応しなくなっていました。聴き直しているうちにベスト・オブのCDが欲しくなりました。忘れてはならない人のひとりだと再確認したからです。

今日の主題はマルセル・パニョルでした。大衆向けの作家と軽視していた面もあったのですが、これも良い特集でした。プロヴァンス地方の原野の香りがする作品を思い出して心温まる思いです。プロヴァンス地方のホリウッド目指して土地を買い、自作の映画監督まで務めたそうです。作家が300人も雇用する社長になったことがあると聞き、まことに学ぶことの多い人生だと思いました。おまけに女優さんが好きで(美人に弱い?)婚外でも子供に恵まれたとか聞くと、ますます元気のお裾分けしてもらったような気になりました。

これらの番組を通じて感じるのは、人に対する好奇心です。他人の生き方と人格に興味が持てる間はまだ大丈夫かな、と独り善がりな安心の仕方をしています。誰にも、何にも興味をもてなくなったら、棺桶に片足つっこんだようなものかなと思う日々です。そんな思いにさせるのは、「人心が荒む」という表現を記憶の片隅から引っぱり出したくなるような世の中になっているからかも知れません。社会的にテンションの上がる中、希望の光を頼りにして歩み続けなければなりません。