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ラタトゥイユに挑戦

日曜日に友人宅でご馳走になった、天火で仕上げたラタトゥイユを前にして主人曰く「家ではあまり野菜を食べないよ」。ムム、何事!とちょっと腹が立ちました。彼が食べたがらないので作らなかっただけなのに。

ウン十年前に食べさせたものと同じでは面目が潰れます。ラタトゥイユには100種類以上、おそらく調理人の数と同じくらい違ったレシピがある筈ですが、自己流を試してみました。

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材料は赤ピーマン、トマト、ナス、ズッキーニと玉葱。ニンニクなどの香味料と混ぜて炒めます。ラタトゥイユの中にはトゥイエという動詞が含まれていますが、意味は正に混ぜる(かき回す)ことであります。様々な材料を好みに従って混ぜ合わせればOKという容易さです。

南仏では暑い盛りによく作る料理です。冷たくても美味しいと言いますが、やはり日本人の口には熱いほうが合うような気がします。

単なるごった煮にしないためのコツは、香りを高めるためにハーブ類を加えることだと思いますが、月桂樹、タイム、ローズマリーなど乾燥させたハーブの他に生のバジリコを加えてみました。

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効果は抜群です。バジリコはサービスする寸前に加えて、葉がソースと馴染む程度に煮る方が香りを保てます。

因みに、バジリコは春先に買えますが、注意深く手入れしていると、冬になっても室内なら葉を保ってくれます。今年はヴァカンス中に枯れてしまったので2本目を購入しましたが、これは今のところ元気一杯です。

残りの野菜はジャムを作るつもりでこってり煮込むほうが美味しいです。ジャム同様に、水は一滴も加えません。野菜が含む水だけで充分です。細火で1時間くらいゆっくり煮込んで下さい。バーベキューやローストされた肉類とよく合います。ボナペチィ!

スープ・ア・ロニョン・グラチネ

フランス語発音のオニオン・グラタン・スープのことです。贅沢な料理ではなく、むしろプディングがパンの残りを上手く処理する食べ方であるのと同様に、残り物の硬くなったパンを美味しく食べるレシピだと思います。冬の寒い盛りとか、夜明かしで踊ったり、呑み歩いたりした後に食べたくなります。

毎年冬場に、少なくとも一度は作るのに、今年は白ワインが手元に無いことが多く、後延ばしにしていましたが、今日は大決心して準備しました。何故かと言うと、急に春らしくなって来たからです。下手するとオニオン・スープ無しで春になりそう。暖かくなってからでは感動しません。

準備と言っても、実はごく簡単です。玉葱を細かく刻み、少量のオイルを加えてフライパンで炒めます。私はあまり長く炒めません。中に生の新鮮さが残る方が、味わいが深いような気がするからですが、多分普通のレシピではバターを入れてしっかり炒めるように勧めていると思います。炒めあがったら、フライパンに白ワインと鶏風味のブイヨンを半々の割合で流し込みます。沸騰させてから、予めトーストしておいたパンを天火用の容器に入れ、おろしチーズをふりかけ、パンをもう一枚重ねた上に注ぎます。天火に入れる前にパンの上にまたおろしチーズをふりかけ、熱火で20分くらい、こんがり焼き上げます。

結果は次のような体裁です。


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スープと言っても、液体はパンに吸収されるので、飲むと言うより食べるものです。白ワインも入っているので、食べた後体がホカホカします。お試し下さい。日本ならおじやですね。

七面鳥の料理法

ターキーこと七面鳥は、こちらではクリスマス、アメリカではサンクス・ギヴィングのご馳走になっているようですが、下手すると肉がパサパサしていて味気ないのが欠点だと思います。それで詰物をしてローストするのでしょうが、詰方によっては健康に良いはずの肉が不健康になってしまいます。

詰物の他に栗を加えるフランス風も、何百種類もあると言われるレシピに従ってスタッフを詰めるアメリカ風も、あまり食欲をそそりません。最近はクリスマスにシャポン(食用に太らせた去勢鶏)を食べる人が多くなっているのは、そこから来ているのでしょう。しかしながら、シャポンなどと比べるとお値段も手頃で、健康に良いとされる七面鳥を無視するのは残念すぎます。充分美味しくする方法がある筈だと考えて私なりのレシピを作りました。何時もの事ながら、思いつくままに材料を加えるので、作る度に違ったヴァリエーションになります。かくして正確に同じ味のものは出来ないようにしていますが、基調は同じものがあります。

こちらで生活し始めてからの発見ですが、クミンと呼ばれるスパイスがあります。これが加えられるだけで、なんとなくオリエンタルな味が生まれるから不思議です。食べ慣れると、いろいろな料理に使ってみたくなるスパイスのひとつだと思います。七面鳥にもクミンを入れてみたらどうかと思って試したらなかなかいけます。セロリも味気なさから救ってくれます。お気に入りの調味料をいくつか投げ込んで、七面鳥腿肉ア・ラ・ワタシ(私風)が出来上がったので紹介します。もう10年近く、月に一度くらいの割りで調理しています。

骨付きの腿肉をこちらではかなり安く買えます。片足600グラム前後が3ユーロくらいで手に入るのが魅力です。今日は日本からのお客様があるので、ちょっと大きめにしました。

まずたっぷり塩コショウを振りかけてから厚底鍋にてジュージュー焼き上げます。両側がコンガリ焼けたら、お酢を大匙2杯分ほどかけて、強火で酸っぱ味を蒸発させます。水と白ワインを好みに合わせて加えますが、2対1ぐらいが適当です。セロリを薄切りにしたものとニンニクの欠片を加え、クミンをたっぷり振りかけ、月桂樹の葉2、3枚とタイム、ナツメグなどで香りを強調し、時々腿肉を裏返しながら合計2時間くらい煮込みます。煮汁の量は少なめのほうが味が濃厚になります。水っぽくなり過ぎないよう注意すると美味しく煮上がります。

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個性的に仕上げるために、時にはオリーブの実を加えることもありますが、今晩は干しスモモにしました。ちょっと甘辛く、酸っぱ味もある豪華な料理が出来上がります。ピラフを作って一緒にサービスします。前菜は新鮮なサラダが一番向いています。レタス、生のマッシュルームとトマトを混ぜたものが爽やかでした。

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友遠方より来る、と言う時に、簡単に出来て美味しく食べてもらえる料理のひとつです。いくらでもヴァリエーションが考えられますが、トマト風味にしてもいけます。言い忘れましたが、私がこの料理で愛用している酢は、りんご酒から得られたものです。軽い酸味なので、あっさりした仕上がりになります。記憶しておいて下さい。米酢でもワイ・ノットと言うところです。

素朴な料理ポトフゥ

冬は日本なら鍋物が美味しい季節ですが、フランスでそれに近い位置を占めるのはポトフゥ(牛肉と野菜をとろ火で煮込んだスープ料理)です。牛肉を4時間くらい煮込み、野菜も沢山いれます。長く煮るので、ステーキには使えない、硬いけれど安い肉を買います。脛(すね)肉、上ばら肉、塊であれば何でもいいです。脂身の少ない肉を選びますが、上ばら肉みたいに脂の塊がついていても心配ありません。前日に煮始めて冷やせば、脂肪は固まるので取り出しやすいからです。味もすね肉よりこってりしていて美味しいです。口の中でとろけます。

玉葱1個に釘に似た形のクルー・ドゥ・ジロフル(クローブ)を刺し込んでおき、一緒に煮込みます。このクローブの香りが決め手です。これが無いと単なる煮込み(ポテ)になってしまいます。肉が充分浸るように水を入れた厚手の鉄鍋に粗塩ひとつまみと胡椒、月桂樹の葉、好みによりハーブ類を適度に加え、上記のクローブを刺した玉葱を入れて煮込みます。肉だけで2時間半ほど煮ておく方が良いです。野菜は融け過ぎないように煮る時間を加減します。人参はかなり長く煮たほうが美味しいです。蕪は煮崩れすることがあります。蝦夷ネギと呼ばれるそうですが、日本の長ネギに似たポワローは火が通るのは早いけれど長く煮るほど味が染み透ります。

隠し味としてセロリ一本入れておくとニュアンス豊かなスープが出来ます。仕上がりに骨髄の入っている骨を加えますが、早く入れてしまうと、骨髄がスープの中に姿をくらますので、煮上がる30分くらい前に加えるほうが良いです。初めて骨髄を食べさせられた時は面食らいました。おまけにちょっと脂っこい濃厚な味です。しかしながら食べ慣れてみると美味しいのです。バターみたいにパンに乗せて食べます。家庭によってサービスの仕方は違いますが、我が家では平たいお皿に肉と野菜を入れ、スープは小さいどんぶりに入れるようにしています。

レシピーはこんな具合ですが、これも自己流です。皆同じように自分風のポトフゥを作っているようです。日本の豚汁と同様に、好きなものを勝手に導入できるような気がします。ジャガイモ好きな主人のために、煮上がる30分くらい前に2,3個入れることもあります。この料理の良い所は、このように適当にアレンジできることですが、傍につきっきりでいなくても料理がじょじょに仕上がるのも魅力です。例えば翌日に食べるつもりで肉を煮始めます。適度に煮ておいて放置します。翌日すっかり冷えて硬くなった脂の塊を掬い出し、また煮ます。

私の調理法はちょっと変わっていて、気晴らしとして料理する傾向があります。例えばメールを書いてから、ちょっと鍋の中を覗き、煮具合を見てから別の用事を果たし、また戻ってきて何か加えるという感じです。そうすると働いているという気がしませんが、夜の食卓にはちゃんと香ばしい料理が出来上がっています。時間を稼ぐために圧力釜で調理する人が多いらしいですが、私は伝統的な厚手の鉄鍋を愛用しています。コトコト何時間も煮込むのが一番美味しいです。テーブルを囲んで湯気の立つ鍋を見ると嬉しくなります。アジア料理ではそういう訳に行きません。立ちっ放しで奮戦します。そのせいか、冬場は煮込み料理が増えます。

コック・オ・ヴァンの秘訣

隠し味は万国共通の思い入れであり、秘訣です。コックさんにとって大事な企業秘密ですが、奥義と言うほうが適切かも知れません。工夫を凝らし、何か自分らしいものを創造する過程で発見するものです。経験的に言えるのは、料理中に思いついて加えたもののおかげで普段にない特別な味わいが生まれることがあります。これは掘り出し物と、意気揚々、頭と舌に刻み込みます。

テレビにはいくつか料理番組がありますが、ニュースに近い時間帯のものに自然に目が行きます。特に昼食の時間帯はゴールデンアワーです。地方差がありますが、大昔は昼食がディナー=正餐と看做されていたようです。夕飯は農民の家庭ではスーペと呼ばれ、その意味はス-プを食べるでしたが、近代生活は夕飯を正餐とするようになり、家族が集合しない昼食は簡素になってきています。その傾向のせいか、質素なお昼ご飯を食べながら見るレシピーは余計に美味しそうに見えます。

最近始まったジュリー・アンドルーの料理番組はなかなか凝っています。彼女自身料理の名人ですが、有能チーフを招くのみならず、ゲストを一般視聴者から選び調理に参加させます。女らしい細かい観察能力を駆使するジュリーは、隠し味とコツをチーフから聞き出すのが得意です。痒いところに手の届くような番組だと言えます。何度か上の空で眺めたこともありましたが、先日はコック・オ・ヴァンだったので注意深く聞きました。コックは英語で言うcookではなく仏語のcoq雄鶏を意味し、ワインに一夜漬けてマリネするので、ワイン入りという意味でオ・ヴァンになります。それ故バフ・ブルギニョンに似た面もある料理です。

味噌は最後に加える新鮮な血でした。鍋を火から下ろし、生の血をゆっくりと煮立てないで流し込むと、あの独特のトロミが出るのです。煮込む前に加えた小麦粉だけでは得られないトロミです。見るだけで美味しそうでしたが、なんとなくTwilightに思いを馳せたりします。やはり日本人の胃腸には、思うだけで食傷気味になるかも知れません。友人と主人のためには調理するけど、自分は本当に食欲が出るか考えてしまいます。知らなければ良かったのにと後悔してみたりする私です。隠し味は隠されているほうが良いというのが教訓かも知れませんね。誰かが作ってくれたから美味しいのが料理だと思う一時です。